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読書記録

後宮の烏

後宮の烏』 白川紺子


ナツイチの栞欲しさに購入(笑)

集英社オレンジ文庫


後宮にありながら、帝の夜伽をせずに呪術を駆使して人々の願いを聞いたり怪異を解決する「烏妃」と呼ばれる特殊な妃がいた。
先代から役割を引き継いだ寿雪と言う名の16歳の烏妃が、老婆の様な言葉遣いで若い帝を「あの男」呼ばわりし、帝のお付きの宦官に殺意を込めて疎まれながら、あf:id:aromatomoko:20190714172850j:imageその能力で次々と幽鬼を成仏させる話。その背景には宮中の権力争いや悲恋、帝と烏妃の生い立ちの秘密、この国の歴史の秘密が絡み合ってなかなか面白かった。


アジアンテイストの短編集やファンタジーは好みなのだが、「これは中華なの!中華ファンタジー!わかる?」みたいな雰囲気を、わざわざ小難しい単語を使ったり、色鮮やかな中華風宮廷の描写、微妙に?と思う比喩表現にむむ…となったが、物語に慣れて来るとさほど気にもならず、面白くなって一気読み。できればアジア文学を翻訳したかの様な自然さ、もしくはもう少し渋みと色気が欲しかった気もするのだが、好みの問題かも。
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