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読書記録

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

なぜ必敗の戦争を始めたのか

『なぜ必敗の戦争を始めたのか 陸軍エリート将校反省会議』 編・解説 半藤一利 本書は、雑誌『偕行』に掲載された陸軍中枢にいたエリート達の座談会の記録を半藤氏が改めてまとめ、解説を加えたもの。 陸軍側から語られる座談会なので、一般に広く認識されて…

みかんとひよどり

『みかんとひよどり』 近藤史恵 フランス料理店の雇われシェフ潮田は、飼い犬ピリカと鳥撃ちに出かけて冬山に迷い込み遭難。死にかけたところを猟師の大高に助けられる。料理人として行き詰まりを感じている潮田は、面倒な人との関わりを極力避けたがる無愛…

歩道橋の魔術師

『歩道橋の魔術師』呉明益 天野健太郎 訳 白水社 エクス・リブリス 1961年から1992年にかけて、台北に実在した大型商業施設「中華商場」を舞台に、そこで暮らす子供達の日常を描き出す連作短編集。 当時の台湾は経済成長期の最中で、鉄筋コンクリート造りの…

6時27分発の電車に乗って僕は本を読む

『6時27分発の電車に乗って僕は本を読む』ジャン=ポール・ディディエローラン 夏目大 訳 36歳のギレン・ヴィニョールは、この名前のために子供の頃から散々な思いをしてきた。何故なら、頭の文字を入れ替えると「ヴィレン・ギニョール」(醜い人形)になるから…

犬も食わない

藻 『犬も食わない』尾崎世界観、千早茜 ロックバンド「クリープハイプ」の尾崎世界観さんと、千早茜さんの共作恋愛小説。雪下まゆさんの、この装画と題字が一目見た時から好きで、ジャケ読み。 言葉が足りないグダグダなダメ男桜沢大輔、いつも苛立ってヒス…

平場の月

『平場の月』 朝倉かすみ 本当に切なかった。中年の男女の恋と言うよりも「慈しみ」の様な愛の話だと思った。 青砥健将50歳。転職、引っ越し、親の介護、離婚。息子たちは離婚を機に独立して疎遠。人生の山も谷も過ぎて都内から地元埼玉に戻った青砥の日常は…

父と私の桜尾通り商店街

『父と私の桜尾通り商店街』今村夏子 表題作を含めた短編6編を収録。どこか不穏さを孕んだ話。御伽噺の様な雰囲気を持つ奇妙な話。ほっこりしそうなのに読み終わったらうすら寒い気味の悪さが残る話…。 本人は健気で懸命なのに、その一生懸命さが世間とはズ…

西瓜糖の日々

『西瓜糖の日々』 リチャード・ブローティガン 藤本和子訳 アイデス〔iDEATH〕のすぐ近くの小屋に住んでいる「私」が語る日々。「私」には決まった名前が無い。私たちがノスタルジックに思い浮かべることがあったら、それが彼の名前になるらしい。 彼の住ん…