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読書記録

犬も食わない

犬も食わない

『犬も食わない』尾崎世界観千早茜


ロックバンド「クリープハイプ」の尾崎世界観さんと、千早茜さんの共作恋愛小説。
雪下まゆさんの、この装画と題字が一目見た時から好きで、ジャケ読み。


言葉が足りないグダグダなダメ男桜沢大輔、いつも苛立ってヒステリックになるめんどくさい女、二条福。この価値観の合わない二人の最悪な出会いとどうしようもない同棲生活のすれ違い…と言うより大喧嘩のやり合いが男の側と女の側それぞれの視点で語られる。


何でこの二人、くっついたんだか。別れればいいのに。ほんと、しょうもない。でもちょっと大輔可愛い…福、結局別れられないんだ。そんなことを心の中でツッコミながら、面白くてやめられずに最後まで読んだ。千早さんの作品は何冊か読んで来たが、初めて読む尾崎さんの文章がとても良くて、思わずクズ男の大輔に情が湧きそうだった。


尾崎さんが担当する男の本音と千早さんが担当する女の本音、同棲している恋人同士のお互いの気持ちの探り合い…。口論にもならないグダグダな喧嘩。絶対分かり合えない、始まりも終わりもはっきりしないまま、一緒にいる二人。まさに「犬も食わない」


中でも「大縄跳び」と言うタイトルの一編と、「ラジオ犬」のエピソードが良かった。