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読書記録

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ピエタ

『ピエタ』 大島 真寿美 美しい物語だった。18世紀の爛熟したヴェネツィアの情景そのものがこの小説の主役ではないかと思えてくるほど、舞台となるヴェネツィアの街や人々の描写が素晴らしかった。 「ピエタ慈善院」は、捨て子を育てる役割の他に音楽院とし…

トリノトリビア

『トリノトリビア 鳥類学者がこっそり教える野鳥の秘密』監修 川上和人 ・マンガ マツダユタカ 身近な野鳥の知っているようで、実は全然知らなかったあんなこと、こんなこと、面白くてびっくりするようなことがぎっしり詰まった一冊です。真面目な研究からわ…

天才はあきらめた

『天才はあきらめた』山里亮太 10日前、テレビではなくネットニュースでお笑い芸人の山里亮太さんと女優の蒼井優さんの結婚を知って、常日頃芸能ニュースにほぼ関心が無い私でさえ腰を抜かすほど驚いた。そして結婚会見の模様をYouTubeで見て、気づいたらこ…

引っ越し大名三千里

『引っ越し大名三千里』土橋章宏 ハルキ文庫 面白い!もう、最高に面白くて不覚にも何度も声を立てて笑ってしまった。 徳川家康の血を引く譜代大名でありながら、その生涯で七度の国替えをさせられた君主、松平直矩は、ついたあだ名が引っ越し大名。四度目の…

かりんとう侍

『かりんとう侍』 中島要 「生きるってなぁ、いいも悪いも関係ねぇ。起こったことを受け入れて、前に進むこってしょう。どれほど御託を並べたところで、起きちまったことをなしにはできねぇ」 旗本の次男坊、日下雄征は気ままな部屋住みの身。義姉に子がない…

トリニティ

『トリニティ』 窪美澄 1960年代から80年代、日本の雑誌文化が花開いて行った時代、その人気を牽引する雑誌を次々と創刊した出版社があった。そこで働いていた三人の女性たちの、三通りの人生を軸に、大正、昭和、平成へと至る時代の変化、特に戦後の昭和史…

事件

『事件』大岡昇平 創元推理文庫 1961年の夏、刺殺体が神奈川県の山林で発見される。被害者は地元出身で、飲食店を経営する若い女性。翌日、19歳の自動車工場勤務の少年が殺人及び死体遺棄の容疑で逮捕された。少年は殺人の罪状を認めており、自白もあった。 …

ショコラティエ

『ショコラティエ』藤野恵美 終わってしまうのがもったいなくて、この先が読みたい。そう思うほど素敵な少年少女の成長物語だった。しかも神戸を舞台に、美味しそうなケーキやチョコレートが次々と出てきて、その描写が過剰でなく、たまらなく上手いので読ん…

ペンギン鉄道なくしもの係リターンズ

『ペンギン鉄道なくしもの係リターンズ』 名取佐和子『ペンギン鉄道なくしもの係』の続編。やはり短編四話収録。この本をご紹介いただいた時、「これは2冊続けて読まなければならないお話」とあって、一度に2冊購入したものの、一巻の最終話でペンギンの謎も…

ペンギン鉄道なくしもの係

『ペンギン鉄道なくしもの係』名取佐和子 こちらでご紹介があって手に取った一冊。「ぶたぶたさん」シリーズを思わせる表紙にも惹かれて読みました。四つの短編が収録されています。 想像していたのとはかなり違っていて、第三話までは、ペンギンはこの話に…

つまをめとらば

『つまをめとらば』青山文平 太平の江戸の世にあって、身の置き所の無い下級武士の男たちの心許なさと、女たちの逞しさを描く。「ひともうらやむ」「つゆかせぎ」「乳付け」「ひと夏」「逢対」「つまをめとらば」の六遍を収録。 男たちの生真面目さ、純情さ…