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読書記録

ペンギン鉄道なくしもの係リターンズ

『ペンギン鉄道なくしもの係リターンズ』     名取佐和子
『ペンギン鉄道なくしもの係』の続編。やはり短編四話収録。この本をご紹介いただいた時、「これは2冊続けて読まなければならないお話」とあって、一度に2冊購入したものの、一巻の最終話でペンギンの謎も解けたし、どうして2冊続けてこそ納得なんだろう…と不思議に思いながら続けて読みました。
今回の主人公たちは、血の繋がらない同い年の高校生の姉と弟、受験に失敗したちょっと気の弱い6年生の兄と気が強いボーイッシュな4年生の妹、難病で入院しているまだ若い人妻、四話通してバタバタとペンギンをそこら中探し回っている正体不明のパンクファッションの柄の悪いサングラスの男。本人たちが、又は代理人が、なくしものを海狭間駅に探しに来る過程で、子供も大人も、外からは推し測れない辛さを抱えていることを考えさせられながら読んで行き、なくしものを探しに来た人々が、実は本当に探したかった大切なものに気づく姿に胸を突かれます。
そして…最後の最後に全てが回収され、ラストに心の芯が暖かくなりました。
今回、ペンギンは、活躍するどころか行方不明になって(笑)なくしもの係の青年も戸惑うし、結構な逃げ上手で笑えるシーンも沢山あるのですが、何もしないで勝手に出かけたり、お散歩したり、戻ってこなくなるペンギン、実は登場人物の人生のターニングポイントに必ず現れていて、不思議な共時性を起こしている…読み終わってそんな気がするのは私だけでしょうか?
「2冊続けて読まなければならない本」とのご紹介、納得です!これから読まれる方も是非一巻から『リターンズ』まで続けて読むことをお勧めいたします。f:id:aromatomoko:20190606223613j:image